》のを頭《かしら》にして、さかり時《どき》は毎日《まいにち》五六十|本《ぽん》も出来《でき》るので、また彼処此処《あつちこつち》に五六人づゝも一団《ひとかたまり》になつてるのは、千本《せんぼん》しめぢツて、くさ/\に生《は》へて居《ゐ》る、それは小《ちひ》さいのだ。木《き》だの、草《くさ》だのだと、風《かぜ》が吹《ふ》くと動《うご》くんだけれど、茸《きのこ》だから、あの、茸《きのこ》だからゆつさりとしもしませぬ。これが智恵《ちゑ》があつて釣《つり》をする人間《にんげん》で、些少《ちつと》も動《うご》かない。其間《そのあひだ》に魚《うを》は皆《みんな》で優《いう》々と泳《およ》いでてあるいて居《ゐ》ますわ。
また智恵《ちゑ》があるつて口《くち》を利《き》かれないから鳥《とり》とくらべツこすりや、五分《ごぶ》五分のがある、それは鳥《とり》さしで。
過日《いつかぢう》見《み》たことがありました。
他所《よそ》のおぢさんの鳥《とり》さしが来《き》て、私《わたし》ン処《とこ》の橋《はし》の詰《つめ》で、榎《えのき》の下《した》で立留《たちど》まつて、六本めの枝《えだ》のさきに可愛《かあい》い頬白
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