め二重括弧、1−2−54]詰《つま》らない、そりや囀《さへづ》るんです。ものをいふのぢやあなくツて、囀《さへづ》るの、だから何《なに》をいふんだか分《わか》りますまい※[#終わり二重括弧、1−2−55]ツて聞《き》いたよ。僕《ぼく》ね、あのウだつてもね、先生《せんせい》、人だつて、大勢《おほぜい》で、皆《みんな》が体操場《たいさうば》で、てんでに何《なに》かいつてるのを遠《とほ》くン処《とこ》で聞《き》いて居《ゐ》ると、何《なに》をいつてるのか些少《ちつと》も分《わか》らないで、ざあ/\ツて流《なが》れてる川《かは》の音《おと》とおんなしで僕《ぼく》分《わか》りませんもの。それから僕《ぼく》の内《うち》の橋《はし》の下《した》を、あのウ舟《ふね》漕《こ》いで行《ゆ》くのが何《なん》だか唄《うた》つて行《ゆ》くけれど、何《なに》をいふんだかやつぱり鳥《とり》が声《こゑ》を大《おほ》きくして長《なが》く引《ひつ》ぱつて鳴《な》いてるのと違《ちが》ひませんもの。ずツと川下《かはしも》の方《はう》でほう/\ツて呼《よ》んでるのは、あれは、あの、人《ひと》なんか、犬《いぬ》なんか、分《わか》りま
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