馳走に、哥太寛《こたいかん》が、――今夜だわね――其の人たちを高楼《たかどの》に招《まね》いて、話の折に、又其の事を言出《いいだ》して、鸚鵡《おうむ》の口真似もしたけれども、分らない文句は、鳥の声とばツかし聞えて、傍《そば》で聞く黒人《くろんぼ》たちも、妙な顔色《かおつき》で居る所……ね……
 其処《そこ》へですよ、奥深く居て顔は見せない、娘の哥鬱賢《こうつけん》から、※[#「女+必」、第4水準2−5−45]《こしもと》が一人|使者《つかい》で出ました……」

        四

「差出《さしで》がましうござんすが、お座興にもと存じて、お客様の前ながら、申上げます、とお嬢様、御口上《ごこうじょう》。――内に、日本《にっぽん》と云ふ、草毟《くさむしり》の若い人が居《お》りませう……ふと思ひ着きました。あのものをお召し遊ばし、鸚鵡の謎《なぞ》をお問合はせなさいましては如何《いかが》でせうか、と其の※[#「女+必」、第4水準2−5−45]《こしもと》が陳《の》べたんです。
 鸚鵡は、尤《もっと》も、お嬢さんが片時《かたとき》も傍《そば》を離さないから、席へ出ては居なかつたの。
 でね、此を
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