わか》いのよ。出が王様の城だから、姫君の鸚鵡《おうむ》が一羽《いちわ》。
全身|緋色《ひいろ》なんだつて。……
此が、哥太寛《こたいかん》と云ふ、此家《ここ》の主人《あるじ》たち夫婦の秘蔵娘で、今年十八に成る、哥鬱賢《こうつけん》と云うてね、島第一の美しい人のものに成つたの。和蘭陀の公子は本望《ほんもう》でせう……実は其が望みだつたらしいから――
鸚鵡は多年|馴《な》らしてあつて、土地の言語は固《もと》よりだし、瓜哇《ジャワ》、勃泥亜《ボルネオ》の訛《なまり》から、馬尼剌《マニラ》、錫蘭《セイロン》、沢山《たんと》は未《ま》だなかつた、英吉利《イギリス》の語も使つて、其は……怜悧《りこう》な娘をはじめ、誰にも、よく解るのに、一《ひと》ツ人の聞馴《ききな》れない、不思議な言語《ことば》があつたんです。
以前の持主、二度目のはお取次《とりつぎ》、一人も仕込んだ覚えはないから、其の人たちは無論の事、港へ出入る、国々島々のものに尋ねても、まるつきし通じない、希有《けう》な文句を歌ふんですがね、検《しら》べて見ると、其が何なの、此の内へ来てから、はじまつたと分つたんです。
何かの折の御
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