おばけずきのいわれ少々と処女作
泉鏡花
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)明《あきら》か
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)お寺|詣《まい》り
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「門<韋」、第4水準2−91−59]
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僕は随分な迷信家だ。いずれそれには親ゆずりといったようなことがあるのは云う迄もない。父が熱心な信心家であったこともその一つの原因であろう。僕の幼時には物見遊山に行くということよりも、お寺|詣《まい》りに連れられる方が多かった。
僕は明《あきら》かに世に二つの大《おおい》なる超自然力のあることを信ずる。これを強いて一|纏《まと》めに命名すると、一を観音力《かんのんりき》、他を鬼神力とでも呼ぼうか、共に人間はこれに対して到底不可抗力のものである。
鬼神力が具体的に吾人の前に現顕する時は、三つ目小僧ともなり、大入道ともなり、一本脚傘の化物ともなる。世にいわゆる妖怪変化の類《たぐい》は、すべてこれ鬼神力の具体的
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