事《しよくじ》の時間《じかん》だけは別《べつ》として戰《たゝか》ひつづけたレコオドは約《やく》三十|時間《じかん》といふのが最長《さいちやう》だ。それはたしか去年《きよねん》の春頃《はるごろ》、池谷《いけのや》信《しん》三|郎《らう》の家《うち》でのことで、前日《ぜんじつ》の晝頃《ひるごろ》はじめて翌日《よくじつ》の夕方過《ゆふがたす》ぎまで八|圈戰《けんせん》を五|回《くわい》ぐらゐ繰《く》り返《かへ》したやうに思《おも》ふが、終《をは》りには頭《あたま》朦朧《もうろう》として體《からだ》はぐたぐたになつてしまつた。そして、二三|日《にち》その疲《つか》れの拔《ぬ》け切《き》らないのに今更《いまさら》自分《じぶん》の愚《おろか》さを悔《く》いたやうな始末《しまつ》だつたが、支那人《しなじん》が二|日《か》も三|日《か》も戰《たゝか》ひつづけて平氣《へいき》だといふのは、一《ひと》つは確《たしか》に體力《たいりよく》のせゐに違《ちが》ひない。が、もう一《ひと》つは氣質《きしつ》の相違《そうゐ》によるものだらう。言《い》ひ換《か》へると、支那人《しなじん》は技法《ぎはふ》の巧拙《かうせつ
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