探偵小説の魅力
南部修太郎

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)云《い》ふ

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)犯罪|乃至《ないし》は

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)[#「需+頁」、第3水準1−94−6、270−下−19]
−−

 ある時、Wと云《い》ふ中年の刑事が私にこんな事を話し聞かせた。
『探偵と云《い》ふ仕事はちよつと考へると、如何《いか》にも面白さうな仕事らしく見えます。然し、その性質|如何《いかん》に拘《かゝは》らず、一|體《たい》人の犯罪|乃至《ないし》は祕密を探し尋ねて、それを白日《はくじつ》にさらし出すと云《い》ふ事はあんまり好い氣持のするものぢやありません。ましてそこには人知れぬ非常な苦心|骨折《ほねをり》があり、ひよつとすると命のあぶないやうな危險にも出會はなければならず、世間の人達からは妙に無氣味らしい眼を向けられると云《い》ふやうな譯《わけ》で、可成《かな》りつらい、厭《い》やな仕事です。で、自分でも始
次へ
全11ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
南部 修太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング