つたやうな好奇の念も湧かずにはゐなかつた。何れにしても彼等は私達の眼から見れば、或る特殊な世界に或る特殊な生活を營んでゐる人達である。嚴格な戒律の下に、一身を祈祷と沈默と勞働とに捧げて、あらゆる衆愚と凡俗の世を離れた靜かな修道院の中に自分の一生を過すと云ふこと――それは少くとも一つの奇蹟とも云ふべき生活である。
「それが果して人間としてほんたうの生活なのであらうか。」と、私は密かに疑つた。
「神の爲めに、ただひたすらに神の爲めに……」と、私は心の中で繰り返した。
「若しそれがほんたうの生活であるならば、少くとも私も考へてみなければならないのだ。」と、私はまた思つた。
彼等は人から離れてゐる。あらゆる人間的の世界から隱遁してゐる。歡樂を知らない。美食を思はない。そして絶對に性の欲求を斥《しりぞ》けてゐる。のみならず神に對して祈る聲は持つてゐても、人に對しては聲を鎖してゐる。人は靈のみに生く――それを彼等は堅き信條としてあらゆる手段で自分の肉體を虐げてゐる。
「それほど人間の肉體は醜いものだらうか。それ程苛責しなければならない肉體だらうか。それならば何故彼等は自殺しないのだらうか。」それ
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