ん》のない事と思ひます。ところが「和解[#「和解」に白三角傍点]」丈けは、氏としては珍らしい程の長篇《ちやうへん》であり、亦、構圖《こうづ》や表現《へうげん》の點に多少の難《なん》がある爲めに、それに就ていろ/\の議論《ぎろん》を聞きました。私はよく友人の井汲[#「井汲」に丸傍点]や小島[#「小島」に丸傍点]と、それ/″\の作家《さくか》に就て度毎《たびごと》に議論をし合ひますが、三人の意見が、例へば前に擧げた四つの作では完全《くわんぜん》に一|致《ち》して居ながら「和解[#「和解」に白三角傍点]」に於ては全く違《ちが》つてゐて、今でもまだ議論《ぎろん》をし合ひます。私が「和解[#「和解」に白三角傍点]」を非常《ひじやう》に傑れた作品《さくひん》だと主張するに反して、井汲[#「井汲」に丸傍点]や小島[#「小島」に丸傍点]は「和解[#「和解」に白三角傍点]」を餘り感心《かんしん》してゐないのです。即ち二人は、この作の表現形式《へうげんけいしき》や構圖《こうづ》[#ルビの「こうづ」は底本では「こづう」]の不統一な事を擧《あ》げて、作のテエマの效果《エフエクト》が薄《うす》いと云ひ、私は作の
前へ 次へ
全11ページ中8ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
南部 修太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング