か」]働《はたら》[#ルビの「はたら」は底本では「はだら」]き過ぎるといふ結果《けつくわ》から、周圍《しうゐ》に對してどうしても左顧右眄《さこうべん》せずには居られないといふところがあるかも知れません。從《したが》つてその思想《しさう》や人生觀《じんせいくわん》の凡てを愛を以て裏づけて行かうとする氏の作家《さくか》としての今後《こんご》は、どんな轉換《てんくわん》を見せて行くかも知れませんが、その理智の人としての弱點《じやくてん》から釀《かも》されて來る何物かは、可成り氏の行手にいろ/\な曲折《きよくせつ》を出すだらうと思はれます。

     二、里見※[#「弓+享」、第3水準1−84−22]氏

 里見※[#「弓+享」、第3水準1−84−22][#「里見※[#「弓+享」、第3水準1−84−22]」に丸傍点]さんの作品を讀んで、一番|感心《かんしん》するのは、その心理解剖《しんりかいばう》の手腕《しゆわん》です。批評家《ひひやうか》がそれを巧《うま》すぎると云つた爲めに、氏は巧すぎるといふ事が何故《なぜ》いけないのだと云つたやうな駁論《ばくろん》を書いて居られましたが、確《たし》かに
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