寢臺に殘つた‥‥」
「うん、たしかにさうだね。」
と頷いて、グスタフソンはすぐにジョンソンの方を振り返ると、
「外に何か發見はないかね? 犯人がここへはいるのを見たやうな者はをらんかね?」
ジョンソンはかぶりを振つて、
「まだ見當りません。然し、ただ今島の者達を調べてをります。それからこの兇器ですがこれはたしかに犯人が近所で得ました物でございます。島ではかういふ種類の管を垣根の柱に使ひますんですが、その證據にわたくしは臺所の扉の邊に泥の塊を幾つか見つけましてございます。」
探偵達は今度は表側のもう一つの寢室と大きな居間を取り調べたが、格別かき亂されたやうな形跡は見えなかつた。然し、居間の一隅の小型金庫の扉が明けつ放しになつてゐた。そして、内部には事務用書類がきちんと收めてあつたが、金は少しも見當らなかつた。かうして警視、主任警部、署長の三人はそちこちで幾らかづつ證據物件を拾ひ上げながら二階の諸部屋を隅々まで尋ね歩いた。鐵の管、扉の取手、椅子類、壁などからは綿密に指紋を調べ上げた。
探偵の苦心
寒い階下の廣間。厚い外套、毛皮の帽子、無恰好な靴、見るからに筋骨たくましい島
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