の域《いき》を遙に越《こ》えて、正に骨味《ほねみ》を[#「骨味《ほねみ》を」はママ]削《けづ》るが如くあれほど必《ひつ》死に眞劍《しんけん》に爭《あらそ》ひ戰《たゝか》はなければならないとは! さう言えば、昔《むかし》爭《あらそ》ひ將棋《せうき》に敗《やぶ》れて血《ち》を吐《は》いて死んだ若《わか》い棋士《きし》があつた。それは恐《おそ》らく戰《たゝか》ふ者の誇と名|譽《よ》にかけて、または男の意《い》地にかけてであつたらう。が、現在《げんざい》では對局《たいきよく》の陰に實際的《じつさいてき》な生|活《くわつ》問題《もんだい》まで含《ふく》まれて來たらしい。
閑《かん》中の余技《よぎ》として樂《たの》しむ僕達《ぼくたち》の棋戰《きせん》でさへ負けては樂《たの》しからず、惡《あく》手を指《さ》したり讀《よ》みの不足で詰《つ》みを逸《いつ》したりした時など、寢床《ねとこ》にはひつても盤面《ばんめん》が腦裡《のうり》に浮《うか》んで來て口|惜《や》しさに眠《ねむ》れぬ思《おも》ひのする事しばしばだが、敗《やぶ》れたる專《せん》門|棋士《きし》の胸《けう》中や果《はた》して如何に? どんな
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