う》の眼《め》に感激《かんげき》の涙《なみだ》さへ幽《かす》かに染《にぢ》んでゐるのを見《み》てとると、それに何《なん》とない哀《あは》れつぽさを感《かん》じて次《つぎ》から次《つぎ》へと俯向《うつむ》いてしまつた。
 が、中根《なかね》は營庭《えいてい》に輝《かがや》く眞晝《まひる》の太陽《たいやう》を眩《まぶ》しさうに、相變《あひかは》らず平《ひら》べつたい、愚鈍《ぐどん》な顏《かほ》を軍曹《ぐんそう》の方《はう》に差《さ》し向《む》けながらにやにや笑《わら》ひを續《つづ》けてゐた。



底本:「新進傑作小説全集 第十四巻(南部修太郎集・石濱金作集)」平凡社
   1930(昭和5)年2月10日発行
初出:「文藝倶樂部」1919(大正8)年12月号
入力:小林徹
校正:松永正敏
2003年12月6日作成
青空文庫作成ファイル:
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