因果
小山内薫
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)俳優《やくしゃ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)最早《もう》十|数年前《すねんぜん》
−−
俳優《やくしゃ》というものは、如何《どう》いうものか、こういう談《はなし》を沢山に持っている、これも或《ある》俳優《やくしゃ》が実見《じっけん》した談《はなし》だ。
今から最早《もう》十|数年前《すねんぜん》、その俳優《やくしゃ》が、地方を巡業して、加賀《かが》の金沢市《かなざわし》で暫時《しばらく》逗留《とうりゅう》して、其地《そこ》で芝居をうっていたことがあった、その時にその俳優《やくしゃ》が泊っていた宿屋に、その時十九になる娘があったが、何時《いつ》しかその俳優《やくしゃ》と娘との間には、浅からぬ関係を生じたのである、ところが俳優《やくしゃ》も旅の身|故《ゆえ》、娘と種々《いろいろ》名残を惜《おし》んで、やがて、己《おのれ》は金沢を出発して、その後《のち》もまた旅から旅へと廻っていたのだ、しかしその後《のち》に彼はその娘の消息を少しも知らなかったそうだが、それから余程月日が経ってから
次へ
全4ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小山内 薫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング