茶の本
はしがき
岡倉由三郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)容《い》れられ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)嗣子|一雄《かずお》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「蚌のつくり」、第3水準1−14−6]
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たやすく郷党に容《い》れられ、広く同胞に理解されるには、兄の性行に狷介味《けんかいみ》があまりに多かった。画一平板な習俗を懸命に追うてただすら他人の批評に気をかねる常道の人々からは、とかく嶮峻《けんしゅん》な隘路《あいろ》を好んでたどるものと危ぶまれ、生まれ持った直情径行の気分はまた少なからず誤解の種をまいてついには有司にさえ疑惧《ぎぐ》の眼を見はらしめるに至った兄は、いまさらのように天地のひろさを思《おも》い祖国のために尽くす新しき道に想到したのであった。そしておのが手で守りたててきた東京美術学校を去って橋本雅邦《はしもとがほう》その他の同志と日本美術院を創立したのは明治三十一年(一八九八)の夏、兄の三十七歳の
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