ゆる》探検もしたり、飛行器の修繕も出来るというものだ。」
と雀躍していたがやがて、
「しかしこうしている中にもこの中の空気が飛散すると大変だから、至急に入口を塞がなければならない。」
「僕らが道具を持って来ましょう。」
と少年はもう駆け出した。
桂田工学博士は、
「それじゃ僕だけここに留守しているから、皆んなで支度をして来|玉《たま》え。」
「では頼むよ。」
と月野博士は助手を率いて引返した。
種々の道具を担いで再び大急ぎで、かの洞穴に帰ったがどうしたのか待っているはずの桂田博士がいない。
「どうしたんだろう。」
と大きな声で呼んだが何とも返事がない。五人声を合せて博士の名を呼んだ。それでも何とも答はない。
「多分そこらへ一人で探検に出かけているんだろう。もう程なく帰って来ようから、吾々《われわれ》は少しも早くここの空気の逃げ出さないようにしなければならない。」
と自ら道具を取って石を動かし始める。二少年も助手とともに働いたが、この月世界で物体の軽い事は驚くほどで、馬二頭でやっと運べそうな大石が、杖の先でも手軽く動く。いやそれ処じゃない掌にでも乗せられるくらい。
間もなくそこの工
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