「さよう。それでは一つ祝杯を挙げようじゃないか。もう空気などありたけ吸う気であの空気孔で大に胸襟を開いて飲もう。」
「賛成※[#感嘆符三つ、38−下−14]」
といずれもその洞内に赴き、ありたけの蝋燭を点じてその中に坐り、各自にブランデーを注いだ洋盃《コップ》を高く差し上げ、桂田博士の音頭で「日本帝国万歳※[#感嘆符三つ、38−下−17] 月世界探検隊万歳※[#感嘆符三つ、38−下−18]」
を三唱すると、その声は遍く洞内に響き渡って、谺《こだま》はさながら月がこの一隊を祝するように、「月世界探検隊万歳※[#感嘆符三つ、39−上−1]」と唱え返した。
[#地付き](「探検世界」明治四〇年一〇月増刊号)



底本:「懐かしい未来――甦る明治・大正・昭和の未来小説」中央公論新社
   2001(平成13)年6月10日初版発行
初出:「探検世界 秋季臨時増刊 月世界」成功雑誌社
   1907(明治40)年10月号
入力:川山隆
校正:伊藤時也
2006年10月18日作成
青空文庫作成ファイル:
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