と交換される踊子たちの貞操帯の中で、私と他愛もないことを喋りながら一夜を明かしました。
翌日になって再びチタ子は私のアパートを訪れてきて、当分、私から離れたくないと言ったのです。既に私はチタ子の淡々とした気もちが好きなっていましたので、別に不快は感じませんでしたが、一応帰宅をすすめてみました。すると彼女は家庭と自分とは独立していると主張するので、私はチタ子と同棲生活を始めたのです。」
すると万年筆と手帳とを持った警部は、チタ子にむかって訊問した。
「――お前は、彼が唯今言ったことを認めるのか。」
チタ子は、その問いにたいして明瞭に答えた。
「――この人の言った通りです。それに妾のしたことは、妾、格別わるいこととは思っていません。」
刑事が、失神したように蒼褪《あおざ》めた彼女の父と、チタ子を別室に連れて行った。老警部が私に言った。
「――君は彼女と結婚する意志はないか?」
「――結婚する必要がありません。」と、私がそれに答えた。
警部が黙々として去ると、他の刑事がにやにやわらいながら部屋に這入ってくると、
「――おい、うまくやってるぜ。告訴は取下げるそうだ。だが、今後は断然あ
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