しい影は何処ともなく消え去った。突然向うの曲り角から愉快な子供の笑い声が起って周圍の粛殺《しゅくさつ》を破った。あたかも老翁の過去の歓喜の声が、ここに一時反響しているかのごとく。[#地から1字上げ](明治三十四年十二月)



底本:「寺田寅彦全集 第一巻」岩波書店
   1996(平成8)年12月5日発行
※底本編集時に、亀甲括弧付きで以下の箇所に添えられた注は、削除しました。
 「希望の影を追うている〔の〕ではあるまいか。」
入力:Nana ohbe
校正:松永正敏
2004年3月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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