にきたるべき沈静への導音《ライトトーン》ででもあるかのように月の座が出現する。そうしてその後につづく秋季結びが裏へその余韻を送るのである。かくしていよいよ最後の花の座が、あたかも静寂な暮れ方の空をいろどる夕ばえのごとき明るくはなやかなさびしさをもって全巻のカデンツァをかなでることになっているのである。
以上のごとく考えて来るとこの一見任意的であるかのごとき定座の定数やその位置がなかなか任意ではなくて容易には変更を許さないような必然性をもっているように思われて来るのである。それでこの規定はもちろん絶対ユニークなものではないまでも種々な可能なものの中から選ばるべき最良なるものの一つであることだけは確実であろうと思われる。
以上ははなはだ未熟な分析の試みであったが、このような見方を一つの作業仮説として実際の古人の連句中の代表的なものに応用してみることは、連句の研究上に一つの新断面を劈開《へきかい》するだけの効果はありはしないかと思われる。ここで実例について詳説することのできないのを遺憾とするが、読者のうちでもし上記の暗示を採用されていっそう具体的に詳細な研究を試みらるるかたがあれば大幸で
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