ある。
なお、ここでは定座の標準位置のみについて論じたのであるが、実例についてこの定位からの偏差が実際いかなる範囲にいかなる様式で行なわれているかを研究してみるのもまた興味あり有益なる仕事であろうと思われる。また一方ではこの定座の発生進化に関する歴史的研究もはなはだ必要であるが、これについてはその方面の学者たちの示教を仰ぐほかはないのである。そうして単なる文献考証だけではなくして、そういう進化径路の有機的な系統に関する分析的な研究が遂げられる日の来るのを期待したく思うのである。
[#地から3字上げ](昭和六年十一月渋柿)
七 短歌の連作と連句
近ごろ岩波文庫の「左千夫歌論抄《さちおかろんしょう》」の巻頭にある「連作論」を読んで少なからざる興味を感じたのであるが、同時に連作短歌と連句との比較研究という一つの新しい題目が頭に浮かんで来るのであった。ところが、自分はまだ短歌連作というものについてはきわめて浅薄な知識しか持ち合わせていないから研究などというほどのまとまったことは到底できないであろうが、しかし取りあえず自分の感じたことだけを後日の参考としてここにしるしておくのも
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