、ワーッと云う声がした。そして再び隊を作った行列は真直ぐな大道をあちらの方へだんだんに遠ざかって行った。
銅色の太陽がもうよほど低く垂れ下がって、葉をふるった白樺の梢にぐるりぐるりと廻っているように見えた。その廻転が見ているうちにだんだんに速くなるように思われるのであった。
「もう少しこれが速くなるとあぶない[#「あぶない」に傍点]」そう思って私は急いでベルリンの町の方へ帰って行った。
[#地から1字上げ](大正十一年三月『明星』)
底本:「寺田寅彦全集 第一巻」岩波書店
1996(平成8)年12月5日発行
入力:Nana ohbe
校正:松永正敏
2004年3月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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