そういう意味で、小動物を愛するという事は、不幸な弱い人間をして「神」の心をたとえ少しでも味わわしめうる唯一の手段であるかもしれない。
舞踊
死んだ「玉」は一つの不思議な特性をもっていた。自分が風呂場《ふろば》へはいる時によくいっしょにくっついて来る。そして自分が裸になるのを見てそこに脱ぎすてた着物の上にあがって前足を交互にあげて足踏みをする、のみならず、その爪《つめ》で着物を引っかきまたもむような挙動をする。そして裸体の主人を一心に見つめながら咽喉《のど》をゴロゴロ鳴らし、短いしっぽを立てて振動させるのであった。
この不思議な挙動の意味がどうしてもわからなかった。いかなる working hypothesis すらも思いつかれなかった。むしろ一種の神秘的といったような心持ちをさえ誘われた。遠い昔の猫《ねこ》の祖先が原始林の中に彷徨《ほうこう》していた際に起こった原始人との交渉のあるシーンといったようなものを空想させた。丸裸のアダムに飼いならされた太古の野猫《やびょう》のある場合の挙動の遠い遠い反響が今目前に現われているのではないかという幻想の起こることもあった。
猫
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