比較言語学における統計的研究法の可能性について
寺田寅彦

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)従兄《いとこ》から

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)子音|転訛《てんか》や

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「i」の左側と下側を線で囲った記号、187−9]が

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔gala_〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
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 言語の不思議は早くから自分の頭の中にかなり根深い疑問の種を植え付けていたもののようである。六七歳のころ、始めて従兄《いとこ》から英語の手ほどきを教えられた時に、最初に出会ったセンテンスは、たしか「猿《さる》が手を持つ」というのであった。その時、まず冠詞というものの「存在理由」がはなはだしく不可解なものに思われた。The(当時かなで書くとおりにジーと発音していた)
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