ыの率を算出し、この両者を比較して、その結果から甲乙丙いずれが最も穏当であるかを決定すべきである。
統計的方法の長所は、初めから偶然を認容してかかる点にある。いろいろな「間違い」や「杜撰《ずざん》」でさえも、最後の結果の桁数《オーダー》には影響しないというところにある。そして、関係要素の数が多くて、それら相互の交渉が複雑であればあるほど、かえってこの方法の妥当性がよくなるという点である。
それで、この方法を真に有効ならしむるには、むしろあらゆる独断、偏見、臆説《おくせつ》をも初めから排する事なく、なるべくちがったものをことごとくひとまず取り入れて、すべての可能性を一つ一つ吟味しなければならない。軽々しい否定は早急な肯定よりもはるかに有害であるからである。これは実験的科学を研究する者に周知の事である。また往々にして忘却される事である。もっともこういうたんねんの吟味をするにはかなりの手数と時間を要する。それかと言って、いつまでもなんらかこの種の方法をとらなければ、独断と独断との間の討論の終結する見込みは立たないように思われるのである。いかにめんどうでも遂行すればするだけ、あともどりは
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