ニなると s1[#「1」は下付き小文字] がさらにいっそうはなはだしく大きくなって、結局どうでもなるという事になり、かくのごとき比較の言語学上の価値はきわめて希薄になって来る事は明らかである。
 次に比較の標準を少し下げて、メタセシスを許容すると、Pの展開式のi項に※[#「i」の左側と下側を線で囲った記号、187−9]が乗ぜられる事になるが(ただし子音が皆異なるとして)、これでは少なくもnがあまり小さくない限り、明らかに最後の結果の桁数《オーダー》に変化は起こらない。
 次に、子音|転訛《てんか》を拡張して行くと、上記のnが減少し、νが増加するから、これはPに重大な影響を及ぼす事となる。かりに濁音を清音と同じにしたり、kとh、mとb、sとtなどを同一視したりいろいろして行くと、独立したものの数nは僅々《きんきん》五つか六つになってしまう。従って最後のPは著しく増大する。たとえば、nを5とすると
[#ここから5字下げ、ここから数式]
1/5[#「1/5」は分数] = 0.2; 1/52[#「2」は上付き小文字、「1/52」は分数] = 0.04; 1/53[#「3」は上付き小文字、「1/
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