A子音|転訛《てんか》や同化や、字位転換や、最終子音消失やでなんとかかとか理屈をつければつくであろうし、また中には実際に因果の連鎖のあるものもあるであろう。
 もっと思い切って、たとえばアフリカへ飛んで Chikaranga の語彙《ごい》を当たると、ちょっと当たっただけで
[#ここから表組]
象 zhou
魚 hove[#「v」は下線(_)付き、181−表組2行目]
鳥 shiri
咽喉 huro
[#ここで表組終わり]
などが見つかる。「象」の訓キサと似たのにはマライの gajah(サンスクリットからとある)があるが、ゾウといったようなのはずいぶん捜したがなかなか見当たりにくくて、それが、どうであろう、突然こんな意外な所に現われたのである。「魚」も同様であった。「鳥」はむしろアイヌの chiri に近いから妙である。土佐《とさ》で咽喉《のど》を切って自殺する事を「フロヲハネル」と言うが、この「フロ」が偶然出て来たのはずいぶん人を笑わせる。もっとも万一ことによると、これはアラビアの halq その他同系の語を通じて結局は西欧の gorge, throat, Hals などにもつながり、ま
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