半日ある記
寺田寅彦
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)称名《しょうみょう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)本堂に人|数多《あまた》集りて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)漣※[#「さんずい+猗」、第3水準1−87−6]《れんい》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ポン/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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九月二十四日、日曜日、空よく晴れて暑からず寒からず。数学の宿題も午前の中に片付けたれば午後半日は思うまま遊ぶべしと定まれば昼飯待遠し。今日は彼岸にや本堂に人|数多《あまた》集りて和尚の称名《しょうみょう》の声いつもよりは高らかなるなど寺の内も今日は何となく賑やかなり。線香と花|估《う》るゝ事しきりに小僧幾度か箒《ほうき》引きずって墓場を出つ入りつ。木魚の音のポン/\たるを後に聞き朴歯《ほおば》の木履《ぼくり》カラつかせて出で立つ。近辺の寺々いずこも参詣人多く花屋の店頭黄な
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