通る車数はかなりの変化があるにかかわらず、その平均数は北行南行ともにほぼ同様で、約二分半に一台の割合である。しかし実際の個々の時間間隔は、南行の最初における十一分三秒プラスという極端から、わずか十二秒という短い極端まで変化している。しかして多少の除外例はあるにしても、だいたいにおいて長い間隔の後には比較的混雑した車が来る事、短い間隔の後にはすいた車が来る事がわかるだろう。
今これら各種の間隔の頻度《フリクエンシー》について統計してみると次のとおりである。
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四分以上 4回 │ 二分以下 23回
三分以上 9回 │ 一分以下 11回
二分以上 15回 │ 四十秒以下 5回
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これでわかるように、間隔の回数から言うと、長い間隔の数はいったいに少なくて、短いものが多い。全体三十八間隔の中で、四分以上のものは四回、すなわち全体の約一割ぐらいのものである。しかしここで誤解してならない事は、乗客がこれらの長短間隔のいずれに遭遇する機会《チャンス》が多いかという問題となると、これは別物になるのである。この点を明
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