日本楽器の名称
寺田寅彦

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)素人《しろうと》の道楽半分に

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|樽《たる》の酒を

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ジャンシェン[#「ジャンシェン」に傍点]
−−

 楽器の歴史は非常に古いものである。そして、現在ある国民やある民族に固有であるらしく見えるものでも実際はかなり複雑な因果の網目を伝わって遠い外国の楽器と親族関係になっているものらしい。もっともこれは楽器に限らずあらゆる人間の文化の産物について共通な事であって言語風俗等いずれについても同様であるには相違ないが、原始的な器械的発明としての楽器などはそういう関係を知るに比較的都合のいいものと考えられる。そういう考えから、素人《しろうと》の道楽半分に少しばかり調べてみた結果をこの昭和三年の初春のにぎわいまでに書いてみる。もちろん玄人筋《くろうとすじ》の考証家には一笑の値もないものであろう。
(三味線) 三弦、三線、三皮前、三びせんなどいろいろの名がある。『嬉遊笑覧《きゆうしょうらん》』や『松屋
次へ
全9ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
寺田 寅彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング