鷹を貰い損なった話
寺田寅彦
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)威《おど》かされ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)その後|人力車夫《じんりきしゃふ》になった
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)小刀をくれないとしでる[#「しでる」に傍点]ぞ
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)「他国もんのべろしゃ/\」だと云って
−−
小学時代の先生方から学校教育を受けた外に同学の友達からは色々の大切な人間教育を受けた。そういう友達の中にも硬派と軟派と二種類あって、その硬派の首領株からはだいぶいじめられた。板垣退助を戴いた自由党が全盛の時代であったので、軍人の子供である自分は、「官権党の子」だという理由でいじめられた。東京訛が抜けなかったために「他国もんのべろしゃ/\」だと云っていじめられた。そうして、墨をよこさなければ帰りに待伏せすると威《おど》かされ、小刀をくれないとしでる[#「しでる」に傍点]ぞ(ひどい目に合わせる)と云っては脅かされた。その頃の硬派の首領株の一人はその後|人力車
次へ
全4ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
寺田 寅彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング