書簡(1[#「1」はローマ数字1、1−13−21])
寺田寅彦
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)島木《しまき》さんの事
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](大正十五年十月『アララギ』)
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拝復。島木《しまき》さんの事について何か書くようにとの御手紙を頂きましたので、考えてはみましたが、私は同氏から稀に御手紙は頂戴しておりましたものの、御目にかかったのは前後にただ一度だけ、それも宴会の席上でちょっと御挨拶をしたばかりでありまして、同氏の追憶と云っては別段に申上げるほどの資格も御座いません。
ただ何か強《し》いて申上げようとすれば次のような事で御座います。
「島木赤彦」「久保田俊彦」という名前や、また作歌文章などを通して私の自然に想像していた島木さんは、どちらかと云えば小柄な体格をもった人でありましたが、御目にかかってみると私の想像よりはずっと大きい体格のように思われました。
それからこの夏八月始めて諏訪湖畔《すわこはん》を汽車で通りました、知人に諏訪の人が数人あるので特に興味があって汽車の窓から風
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