鴫突き
寺田寅彦

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)「鴫突《しぎつ》き」のことは

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)時々|宅《うち》の庭の手入れなどに雇っていた

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)蜻※[#「虫+廷」、第4水準2−87−52]《とんぼ》
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「鴫突《しぎつ》き」のことは前に何かの機会に少しばかり書いたことがあったような気がするが、今はっきり思い出せないし、それに、事柄は同じでも雑誌『野鳥』の読者にはたぶんまた別な興味があるかもしれないと思うからそういう意味で簡単にこの珍しい狩猟法について書いてみることとする。
 高知市附近で「鴫突き」というのは、蜻※[#「虫+廷」、第4水準2−87−52]《とんぼ》を捕えるのと同じ恰好の叉手形《さでがた》の網で、しかもそれよりきわめて大形のを遠くから勢いよく投げかけて、冬田に下りている鴫を飛び立つ瞬間に捕獲する方法である。「突く」というのは投槍のように網を突き飛ばす操作をそう云ったも
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