鴫つき
寺田寅彦
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)別役《べっちゃく》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)五、六|間《けん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)蜻※[#「虫+廷」、第4水準2−87−52]《とんぼ》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ばさ/\
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別役《べっちゃく》の姉上が来て西の上《あが》り端《はな》で話していたら要太郎が台所の方から自分を呼んで裏へ鴫《しぎ》を取りに行かぬかと云う。自分はまだ一度も行った事がないが病後の事であるからと思うて座敷で書見《しょけん》をしている父上に行ってもよう御座いましょかと聞くと行くはよいが傘をさして行けとの事であったから、帽をかぶってわるい方の蝙蝠傘《こうもりがさ》を持って裏門へまで行くと、要太郎はもう網をこしらえて待っていた。「別役の精《せい》様がこないだから連れて行てくれい云いよりましたがのうし。」「そうかそれでは呼んで来い」とて下女
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