えて空気よりも冷たくなると、空気中の湿気が持ち切れなくなって露と結ぶ。地面は昼間温かい太陽に向って九千三百万マイルの彼方から来る光熱を浴びているが、夜になると冷たい死灰《しかい》のような宇宙の果に向き変ってしまう。すると昼間せっかく太陽から貰った温熱の大部分は人の知らぬ間に音もなく地面から抜け出して虚空へ逃げて行く。一秒時間に十八万六千マイルという驚くべき速度で逃げ出すと、もう未来永劫再び我が地球へは帰って来ぬ。良く晴れた夜には地面は赤裸で天体の寒さに曝されるようなものだから余計によく冷える。こんな晩には露が多い。しかし雲があれば丁度地面に着物を着せたようなわけで熱の放散が少ない、それだから露が少ない。また風があると地面の冷えようとするのを始終空気が撫でて行くから空気よりも著しく冷える間がない。それだから風のない雲のないそして湿気の多い晩に露が多い訳である。また物によって熱の逃げやすいものと逃げにくいものとある。草木の葉や土、石、藁のようなものは冷えやすいから露も多くつくが、光った金属例えば金盥《かなだらい》などは冷えにくいから露も付きにくい。熱帯地方では露の夥しく降る処がある。アフリ
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