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髪を短くしている人は大概髪を延ばすと醜くなるようなたちの人だと床屋が言う。それはそういう場合もあるかもしれないが、またそうでない場合があるかもしれない。
いつもとりすました顔をしている女は、たぶんすましたときのほうがいちばん美しく見えるような型であり、始終|笑顔《えがお》を見せている女は、やはりそうしたほうがすましているより美しく見えるような型の顔であるかもしれない。少なくも当人がそう信じていることだけは慥《たし》かであろうと思われる。
めいめいで口をきいてめいめいの意見を吐露すべき会合の席上でいつでも黙々として始めからおしまいまで口を利かない人がある。もしかするとそれは口をきくと自分の美と尊厳をそこなうことを恐れる人ではないかという気がする。またこれと反対にいわゆる一言居士《いちげんこじ》と称するのもある。これはもちろん自分の一言の真と美を信ずるからのことであろう。しかし、自分の「我」に固執する点ではどちらも似たものである。
公人としての会議ではやはり公の問題そのものの前に自分の私を忘れるべきであろう。「顔」を気にする女の場合とはちがうと思われる。
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