映画雑感6[#「6」はローマ数字、1−13−26]
寺田寅彦
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)「立《た》て兵庫《ひょうご》」にどこか似ている
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)決まった時|介添《かいぞえ》に助けられて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](昭和十年八月『渋柿』)
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一 パーロの嫁取り
北極探検家として有名なクヌート・ラスムッセンが自ら脚色監督したもので、グリーンランドにおけるエスキモーの生活の実写に重きをおいたものらしいので、そうした点で興味の深い映画である。グリーンランドのどの辺を舞台にしたものか不明なのが遺憾ではあるが、とにかく先ず極地の夏のフィヨルドの景色の荒涼な美しさだけでも、普通の動かない写真では到底見られぬ真実味をもって観客に迫ってくるようである。それからまた、この映画の中に描写された土人の骨相や風俗なども実に色々のことを考えさせる。ヒロインの美人ナヴァラナの顔が郷里の田舎で子供の時分に親しかった誰かとそっくりのような気がすることから考えると
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