科学と文学
寺田寅彦

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)真田三代記《さなださんだいき》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)日常|茶飯事的《さはんじてき》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)植物※[#「月+昔」、第3水準1−90−47]葉《しょくぶつさくよう》を
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    緒言

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 子供の時分に、学校の読本以外に最初に家庭で授けられ、読むことを許されたものは、いわゆる「軍記」ものであった。すなわち、「真田三代記《さなださんだいき》」、「漢楚軍談《かんそぐんだん》」、「三国志《さんごくし》」といったような人間味の希薄なものを読みふけったのであった。それから「西遊記《さいゆうき》」、「椿説弓張月《ちんせつゆみはりづき》」、「南総里見八犬伝《なんそうさとみはっけんでん》」などでやや「人情」がかった読み物への入門をした。親戚《しんせき》の家にあった為永春水《ためながしゅんすい》の「春色梅暦春告鳥《しゅんしょくうめご
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