所の番兵のようにそびえているわけである。大垣《おおがき》米原《まいばら》間の鉄道線路は、この顕著な「地殻《ちかく》の割れ目」を縫うて敷かれてある。
 山の南側は、太古の大地変の痕跡《こんせき》を示して、山骨を露出し、急峻《きゅうしゅん》な姿をしているのであるが、大垣《おおがき》から見れば、それほど突兀《とっこつ》たる姿をしていないだろうという事は、たとえば陸地測量部の五万分一の地形図を見ても、判断する事ができる。大垣停車場から、伊吹山頂、海抜一三七七メートルの点までの距離が、ほとんどちょうど二十キロメートル、すなわちざっと五里である。それから計算してみると、大垣から見た山頂の仰角は、相当に大きく、たとえば、江《え》の島《しま》から富士を見るよりは少し大きいくらいである。従って大垣道から見て、この山はかなり顕著な目標物でなければならない。もっとも伊吹以北の峰つづきには、やはり千メートル以上の最高点がいくつかあるから、富士のような孤立した感じはないに相違ない。
 問題の句を味わうために、私の知りたいと思った事は、冬季伊吹山で雨や雪の降る日がどれくらい多いかという事であった。それを知るに必要
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