新しい破片は明日の古い破片でなければならないことは歴史のエキストラポレーションが証明する。ただ昨日の破片より今日の破片の方が一歩だけ「全体」に近づいて来ただけである。
五
科学の進歩を促成するのはもちろん科学者であるが、科学の進歩を阻害するのもまた科学者自身である。学者を尊敬しない世人、研究費を出し惜しみする実業家、予算を通さない政府の官僚、そう云ったようなものがどれだけ多くあっても科学の進歩する時はちゃんとするのである。
科学を奨励する目的で作られた機関が、自己の意志とは反対に、一生懸命科学の進歩を妨害しているという悲しむべき結果になる事もあるようである。これがいちばん困る。
科学も草木ものびのびと自由に生長させる方がよいようである。少しくらい雑草も生えても、いい木はやはり自然に延びる。下手な植木屋が良い木を枯らす。
科学者が利口になると科学は進歩を中止する。科学者はみんな永久に馬鹿でありたい。
六
理学部会委員に約束しておいたのを忘れていて、今日最後の通牒《つうちょう》を受けて驚いて大急ぎで書いたので甚だ妙なものになった。スパー
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