のおのおのであり、またすべてであったと答える外はない。」
 「彼の論文を読むと、研究の結果の美しさに打たれるばかりでなく、明晰な洞察力で問題の新しい方面へ切り込んで行く手際の鮮やかさに心を引かれる。また書き方が如何にも整然としていて、粗雑な点が少しもない。」「優れた科学者のうちに、一つの問題に対する『最初の言葉』を云う人と、『最後の言葉』を述べる人とあったとしたら、レーリーは多分後者に属したかもしれない。」
 しかし彼はまたかなり多く「最初の言葉」も云っているように思われる。

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(附記) 以上はほとんどすべて Robert John Strutt すなわち現在のレーリー卿の著書 "John william Strutt, Third Baron Rayleigh" から抄録したものである。ここでは彼の科学的な仕事よりはむしろこの特色ある学者の面目と生活とを紹介する方に重きをおいた。近頃の流行語で云えば彼は代表的のブールジョア理学者であったかもしれない。しかし彼の業績は世界人類の共有財産に莫大な寄与を残した。彼はまた見方によれば一種のディレッタントであったようにも見
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