には "For now we see in a glass darkly, but then face to face." と刻してある。その後ウェストミンスター・アベーに記念の標石を納めようという提議が大学総長や王立協会会長などの間に持出され、その資金が募集された。標石の上の方には横顔を刻したメダリオンが付いている。レーリーの私淑したと思わるるトーマス・ヤングの記念標と丁度対称的に向き合っている。除幕式は一九二一年十一月三十日、ジェー・ジェー・タムソンの司会の下に行われた。その時のタムソンの演説はさすがにレーリー一代の仕事に対する簡潔な摘要とも見られるものである。その演説の要旨の中から、少しばかり抄録してみる。
 「レーリーの全集に収められた四四六篇の論文のどれを見ても、一つとしてつまらないと思うものはない。科学者の全集のうちには、時のたつうちには単に墓石のようなものになってしまうのもあるが、レーリーのはおそらく永く将来までも絶えず参考されるであろう。」
 「レーリーの仕事はほとんど物理学全般にわたっていて、何が専門であったかと聞かれると返答に困る。また理論家か実験家かと聞かれれば、そ
前へ 次へ
全58ページ中55ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
寺田 寅彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング