敢なる人々によつて発言せられた時、どの様な希望と向上心を女性の間に呼び醒したであらう。太陽はあらゆる光輝と栄光をもつて新世界に昇臨せんとした。この世界に於て女子は自己の運命を指導すべく自由ならんとした――其目的は確かに偏見と無智の世界に対し全てのものを賭して戦つた男女先駆者の偉大なる熱誠と、勇気と忍耐と不断の努力とに価したのである。
私の希望も又元よりその目的に向つて進んでゐるのである。しかしながら今日実際解釈せられ、適用せられてゐる婦人の解放はその偉大なる目的に達することを誤つたと私は主張したい。今や、真に自由ならんことを切望する婦人はかの解放より再び自己を解放せざるべからざる必然に面してゐるのである。これは如何にもパラドキシカルに聞えるかも知れない、しかも、それは唯だあまりに真である。
女子は解放を通じて如何なることを成し遂げ得たか? 結果は僅《わず》かに数洲に於ける選挙権の獲得となつて現はれたに過ぎない。(これは米国の場合に就て云つてゐるのです――訳者)それは果して多くの善意を抱ける代表者が予言した如くわが国の政界を純化し得たであらうか? 確かにそうではない。従つて今や健全明
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