これからの勉強や仕事のためには今は何にもかかわらないがいいのだと思いました。そして私はTとも別れOをも拒絶しようと決心しました。
Oは私のこの心持をかく見破っていました。私は決心してOに拒絶しに行きました。が結果は反対でした。私はいっさいの話の混交も世間の批判もだまって受けようと決心しました。
こうして私はTと別れました。私がTと別れるまでの私のすべての心持も事情もよく知っている友達は私をしきりに励ましました。彼女は極力、私が独立することをすすめました。私の結婚が最初から過っていたことをしきりにいっていました。そして親切な私の後援者になってやろうとしていたのでした。けれども彼女は、私がTと別れると同時にOと結んだ事に不服でした。彼女は私がOの魅力にくらんで、彼女を裏切ったと考えたのです。無考えな結婚生活に手を焼いていながら再びその愚を繰り返すのだ、と彼女はいいました。もっと冷静に考えねばならないと彼女はいいました。そして彼女は、私が前からOとそうなるべきはずのを自分に隠していたのだというふうにもとりました。しかしそのどれでもなかったのです。
私はずいぶん考えました。もう私も何をす
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