子であることを妨げられない以上は、私達は必ず話し合い理解し合うことが出来るのです。私はそれを信じています。しかしまたよし理解しなかったとしても、してくれないとしても、それまでです。私は私の生活をよりよくしてきた事に充分満足する事が出来ますから。それに子供は子供で自分の生活を持っています。もしも子供から恨まれる事があっても、私は自分が子供の犠牲になって一生を無意味に送って子供の過重な荷厄介になって持てあまされるよりははるかにいい事だと思っています。
Tと私との最後は、私が自分で計画したように自然にはゆきませんでした。幸か不幸かちょうどそのとき私はOにぶつかったのです。
私はもしOの愛をすぐに受け入れるような事があれば、Tとの間にせっかく自然にはこびかけた相談がこんぐらがるばかりでなく、世間からはきっとOの愛を得たがためにTを捨てたといわれるだろう。という事が私にはたまらなくいやでした。が私のOに対する気持はかなり卒直なものでした。
私は永い間Oに会いもせず何の返事もしないでいました。私の対世間的な見栄と、その見栄に打ち克とうとする他の卒直な気持との争いでありました。私はやはり自分の
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