して私の心持が進んでいるうちにも私はまた第二の子供を生むようになりました。しかし、私共の生活はちっとも幸福ではありませんでした。二人目の子供が生まれてからは私共には面白くない日の方が多かったのです。私は子供の世話、家の中のすべての仕事、それにたべる心配から、自分の勉強、仕事とおっかけられるように忙しい生活をしていたのです。
 そうしていながらも、私の心にだんだんに食い込んでくる考えは、Tが何のたよりにもならない事と、今自身の生活を変えなければもう一生重荷を背負って苦しまなければならぬという事でした。二人目の子供が生まれてからは私の家は私には一日一日に重さを増していく重荷でした。私が自分の境遇を悲しむときには、Tも間違いなく私の重荷でした。子供は、私には重荷であっても自分の背負わねばならぬ重荷とあきらめていました。しかしその他のいっさいのものはみんな私には日増しに重くなりました。
 私は時々自分の年を考えてみます。二人目の子供を生んだ時、私は廿一だったのです。まだほんとうの勉強ざかりの年なんです。私は情なくなりました。何という馬鹿な目に会ったもんだろう、としみじみ思いました。
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