支へられてゐるのは非現代的な教育者である事、少年犯罪者でも不具者の子供達と同様に罰したり烙印を押したりする事の出来ないと云ふ事を彼女に話した。
此の会見は私に、もしも私が小さい犠牲者達の間で働くとしたら、私の努力は一歩毎に、此の固苦しい、そして独断的な淑女から妨げられるだらうと云ふ事を納得させた。彼女はまた恐らく自分だけで、共産主義者の国家で無政府主義者に子供の世話を委《まか》すのは危険な事だと考へたらう。何れにしても私のもくろみは無駄だつた。
ボルシエヴイキ制度の腐敗や濫用や無能は、当然信頼の出来る働き手の欠乏が責任を負ふのだと云ふ屡々繰返されたボルシエヴイキの此の言葉が、ウソだと云ふ例証として、私は此の話をするのだ。
ロシアにゐた間に、私は教育や、経済や其の他の非政治的仕事に、才能もありよろこんで協力する驚く程多くの人々に接触した。が、彼女は共産主義者でないところから、有らゆる敵意と努力とを無駄にさせて了《しま》ふスパイ制度に取りかこまれて、それに睨まれて邪魔されてゐる。
七
四ヶ月間のウクライナの旅の間に、私はいろんな託児所や幼稚園や寄宿学校や又児童植民地な
前へ
次へ
全11ページ中8ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
伊藤 野枝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング