死んだ魂
エマ・ゴオルドマン
伊藤野枝訳
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)総《すべ》て
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き](第三次『労働運動』第八号、一九二二年一〇月一日)
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ます/\
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一
今から百年以前、ゴオゴルは其の傑作『死んだ魂』で同国人を驚かした。それは、ロシアの封建制度と其の寄生虫共を仮借なく非難したものであつた。『死んだ魂』は再びロシアの生活に帰つて来た。
誰が現代の死んだ魂か? それは実際を話す方が一番はつきりするだらう。何処の託児所も、寄宿学校も、感化院も――実際子供と大人とが住んでゐる何処のさうした所にでも、――寄宿舎の数だけ、食物や着物や定食糧やを取る権利を与へられてゐる。
総《すべ》ての学院では中央分配局の供給にたよつてゐる。或る学院のために必要などんなものを手に入れるにも先《ま》づ二十人も三十人ものチノヴニキ、即ち役人の署名と副署とのついた幾つもの命令書を貰はなければならない。
チノヴニキは、
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