。
何処にも『死んだ魂』が半ば餓えてゐる子供達のものを奪取つてゐた。私の隣人は、彼女が其の自分の子供達に就いて持つてゐる経験を委《くわ》しく話した。男の子は三つで、女の子は九つだつた。二人とも託児所に預けてあつた。母親は其の貧しい所得の中から、余分な食物を子供達に規則正しく送つてゐた。子供達は其処では充分な食物を貰へないのだ。六ヶ月目の終りになつた時、二人の子供達は病気になつて、其の母親と一緒にゐた室に移された。女の子は有毒な発疹が進んでゐた。男の子は酷く衰弱してゐた。二人の容態は営養欠損の当然の結果だと云ふ診断なのだ。
私は、其の真面目で熱心に働く共産主義者の隣人と友達になつた。彼女を通して、私は子供達の一般の状態に就いていろんな事を学んだ。私はます/\、ボルシエヴイキは子供達のためにあらゆる事を試みたが、其の彼等の努力は彼等の国家が創り出した寄生虫的官僚政治によつて失敗したと云ふ事がわかつて来た。宣伝の目的に子供までも使はねばならないと云ふ彼等の考への破壊的な事が何よりも先づ証拠立てられた。
四
私ははじめに云つた。私が最初に子供達が『泥棒だとか道徳的不具者』だ
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