豹吉は叫んで、ズボンの中へ手を突っ込んだ。
そして、いきなり足を進めて、すっと警官の背中へ寄って行こうとした途端、闇市の中からやって来た一人の男が、
「兄貴!」
と、かけ寄って来た。
亀吉だった。
「兄貴、ほんまに殺生やぜ」
と、亀吉は口をとがらせた。
「――一体どこうろついてたんや。ほんまに探すのンに苦労したぜ」
「用事なら早く言え」
豹吉は警官に連れて行かれる雪子のうしろ姿を、気にしながら、いらいらした声で言った。
「兄貴、わいに千円くれるという約束やったな」
「うん。おれを驚かせたらなア」
「兄責、びっくりしなや」
亀吉はポケットから紙片を出して、豹吉に見せた。
「今夜十時中之島公園、図書館の前で待つ」
[#地から4字上げ]隼
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豹吉へ
二伸 亀吉の二千円は掏らせて貰った。
悪く思うな。
[#ここで字下げ終わり]
豹吉はちらと眼を通すと、表情一つ変えずに言った。
「なんや、これは……」
「なんや、これは……いうて、済ましてるどころやないぜ、兄貴、これ読んで、びっくりせえへんのか」
「お前に千円やるのはまだ惜しいからな」
と、豹吉は笑っ
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